スプリットクレスト
(すぷりっとくれすと)
歯槽骨が吸収を起こし、インプラントを入れるための骨の高さはあるのですが、水平的な骨幅が不足している場合に行う治療方法です。
インプラント予定部位の骨の細くなっている部分に、ノミのような専用の器具を用いて、骨を頬側と舌側(口蓋側)の両側に若木骨折させ押し広げます。広がってできた骨と骨の間のスペースにインプラントを入れていきます。
適応は、少なくとも3mm 以上の骨幅があり、その部分に皮質骨だけでなく、海綿骨が存在していることです。また、骨に柔軟性がないと完全に骨折してしまい失敗してしまう可能性があるので、骨の性質上、柔軟性があるという意味で、上顎の骨に適しています。下顎の骨は硬く、骨が二つに広がりにくいので、一度、頬側の皮質骨に刻みを入れるオペをあらかじめしておいて、3〜4週後にスプリットクレストを行うという2回法を行うこともあります。
患者様自身の骨で、インプラント周囲を挟んで固定できることと、症例によっては、骨充填材や、メンブレンを使用しなくても良好な結果が得ることもできます。
反面、術後に歯槽骨頂の骨吸収がみられることがあるということ、骨折させることで残存歯への影響を避けるために、隣在歯のすぐ近くには、インプラントを入れずらいことと、インプラントの方向が頬側に傾斜する場合が多いという理由で、最終的なインプラント上部構造に問題がでることもあります。
術式
1)広げた骨片への血液供給のために、全層弁でなく、部分層弁にて、歯肉を剥離します。骨頂部の骨切りを行う最小限の部分だけ骨膜を剥離します。
2)マイクロソウやピエゾで海綿骨まで切り込みを入れます。
3) 骨を完全には割らないよう、細いノミを入れ、若木骨折させます。
4)徐々にノミを大きくして幅を広げていき、インプラントを入れることができる幅まで広げます。
5)インプラントの先端部が固定できるように、ドリリングを行います。
6)インプラントを入れます。
7)隙間を骨充填材(患者様自身の骨や、人間や牛の骨をミネラル分だけにしたもの、リン酸カルシウム系の材料)で満たし、コラーゲン性の吸収性メンブレンで覆います。
8)歯肉を縫合して終わりになります。