All-on-4
(おーるおんふぉー)
全ての歯を失った方にインプラント治療を行う場合、最終的に完成する予定の補綴物から逆算して、審美的、力学的に計算された位置に、なるべく平行にインプラントを植立することが一般的です。これをトップダウントリートメントと呼びます。
その部位に骨が不足している場合は、骨の移植や再生手術をします。また、インプラントの本数は、可轍式の義歯をインプラントで支持する場合は、2〜4本、固定式のブリッジを支持する場合は、6本以上のインプラントを使用します。
しかし、All-on-4という概念は、特に新しいインプラントを使うとかではなく、トップダウントリートメントではなく、骨がある部分に4本のインプラントを平行ではなく、上顎洞や神経を避けるように傾斜させて扇形に広がるように埋入し、即時負荷で仮歯を同日にセットするという術式です。確かに、平行にインプラントを植立するより、骨を有効に利用できます。
骨質が軟らかく、骨量も少ない日本人には、一般的には、骨質が良いと言われる下顎であっても、4本でなく5、6本のインプラントを使用することがありますし、上顎では、基本的には6本のインプラントの使用が基本と言われています。
最終的なインプラント上部構造は、固定式のブリッジになります。
【利点】
◎骨移植をしないということと
◎インプラントの本数が固定式のブリッジには1〜2本少なくてすむこともある(費用が少なくてすむ可能性がある)
◎即時負荷で、仮歯がオペと同日に入ること
【欠点】
◎インプラントを傾斜させて植立するために、将来的にインプラントの追加埋入が難しくなり、一度立てた治療計画の修正が難しい
◎インプラントが傾斜しているために、上部構造のメンテナンスが難しい
下記に理由で特に利点がそれほどないと考えられます
◎6本(4本でなく)のインプラントの使用で、理想的な位置にインプラントを植立さたうえに固定式のブリッジの治療が可能
◎即時負荷は、この術式でなくても、それ以前から、条件によっては可能であった
◎暫間インプラントの使用で、全ての症例において即時負荷でオペ同日の仮歯のセットは可能
当院では、骨が不足している方で、何らかの理由で骨移植ができない患者様に、このコンセプトに基づいたインプラント治療を行うことがあります。